近代ムーブメントの最高傑作 エルプリメロ
こんにちは!東村山市の買取専門店 買取リッチ東京 東村山店です。
ムーブメントは機械時計の最も重要なパーツとして挙げられます。
エンジンや心臓に喩えられることも多いですが、それらとの決定的な違いは、動力源でありながらパフォーマンスに直結している点でしょう。
時計に求められるパフォーマンスとは主に高精度の時刻表示です。
しかし、ぜんまい仕掛けの機械を狂いなく動かし続けることは非常に難しく、数百万円する高級時計でさえも、一日で数秒の誤差が出てしまう世界です。
日進月歩のパワーリザーブに対し、精度の向上は行き詰ってしまった感は否めません。
では具体的に、ムーブメントの大きな進化はどこから止まってしまったのかというと、エルプリメロからと言うことができます。
おそらく名前は知っているという方は多いのではないでしょうか?
今回はそんなエルプリメロについて詳しくご紹介していきます。
ぜひ最後までご覧ください。
ムーブメントの最高傑作「エルプリメロ」
出典:https://www.zenith-watches.com/ja_jp
エルプリメロはゼニスが1969年に発表した、世界初の自動巻きクロノグラフムーブメントです。
36,000振動のハイビートに、0.1秒まで計測可能な高性能クロノグラフ機能を備えたエルプリメロは、現在からしても破格の性能を持っています。
というのも、ロレックスを初め大半のメーカーでは、28,800振動が主流になっているためです。
もちろん、振動数は高ければ高いほど良いわけではありませんが、「腕時計の振動数は28,800回が最適」という大方の見方は、エルプリメロによって導き出されたとも言えます。
ブレゲが時計の歴史を200年早めたというのは有名な話ですが、ムーブメントにおいてはエルプリメロもそんな存在と言えるかもしれません。
振動数とは?
先ほどから出ている振動数について簡単に説明します。
機械時計には時間のペースを作る機構が組まれており、その中のテンプと呼ばれるパーツの往復運動によって、運針に精度を与えています。
一般的にテンプの振動数は高いほど精度が増すため、時計の歴史は振動数を高めていくものとも言えるでしょう。
しかし、高振動になるにつれて部品の摩耗が激しくなったり、パワーリザーブが落ちるなどのデメリットも大きくなってきました。
各メーカーはこういった問題を解消しつつ、可能な限りの振動数を探った結果、現在の28,800回で概ね揃っています。
では36,000振動のエルプリメロはどのように摩耗を抑えているのかというと、自社製の特殊な潤滑油によって部品を守っているようです。
これが抜本的な解決策になっているのかはわかりませんが、半世紀以上前にこの振動数で製品化に至ったことは、機械時計の発展に大きく貢献しました。
エルプリメロ採用モデル
歴史的な発明となったエルプリメロは、ゼニス以外の多くのメーカーにも採用されました。
一時期までは最大手の有名モデルにも搭載され、覇権ムーブメントの立場を確立します。
PCにとってのWindowsやmacOSのような存在と考えると、エルプリメロがいかに時計市場の中で重要なポジションにあったかがわかるかもしれません。
ロレックス コスモグラフ デイトナ Ref.16520
エルプリメロを採用した最も有名なモデルといえばデイトナ Ref.16520です。
製造期間は1988年から2000年までで、デイトナとしては第5世代に当たります。
厳密にはエルプリメロをそのまま載せているわけではなく、Cal.4030として改良させた形で搭載されました。
改良とは言いつつも、Cal.4043は自社開発のムーブがプリメロに及ばなかったための妥協策だったため、ロレックスにとっては完全自社開発の決意を新たにしたモデルかもしれません。
2000年には、悲願の完全マニュファクチュールとなる116520を発表しました。
実質ダブルネームモデルとも言える16520は、ロレックスの中でも異質なモデルです。
完全マニュファクチュール志向の強いロレックスにとって、他社の技術が入ったモデルは非常に限られています。
もっとも、これはロレックスに限った話ではありません。
時計界全体を見ると、いまやネジ1本まで自社製というレベルが大手メーカーの平均になっています。
エルプリメロの誕生と、デイトナが自動巻きに変わるタイミングが偶然重なったことで、16520は奇跡的に生まれました。
ウブロ スピリット・オブ・ビッグバン Cal.HUB4700 エル・プリメロ
出典:https://www.hublot.com/ja-jp
近年は優れたムーブを自社開発するメーカーが増えたことから、エルプリメロの立場は以前ほど突出したものではなくなっています。
特にこの数年は、ムーブを自社開発してこそ一流といった見方も増えたことで、エルプリメロの一人勝ちの時代ではなくなってしまいました。
ハイビートと真逆のロービートの高品質なムーブもよく見かけますね。
そんな中、ウブロはエルプリメロを前面に押し出した、スピリット・オブ・ビッグバンを2014年に開発しました。
表も裏もスケルトン仕様にすることで、プリメロベースのCal.HUB4700の大部分を拝めるようになっています。
スペックだけでなく、デザインの美しさも評価されるプリメロの細部を、両面スケルトン仕様で楽しめる貴重なモデルです。
ブルガリ オクトヴェロチッシモ
出典:https://www.bulgari.com/ja-jp/
ブルガリはエルプリメロを積極的に採用してきたメーカーの1つです。
代表作ブルガリブルガリを初め、人気ダイバーズモデルのディアゴノスクーバなど、多くのヒット作がエルプリメロを積んできました。
これはブルガリが宝飾ブランドのため、時計メーカーに比べ技術力で劣るという事情もありますが、最も大きな理由はゼニスと同じLVMH傘下グループであることです。
ルイヴィトンをトップとする巨大グループのLVMHは、傘下のゼニスの技術をウブロ、ブルガリ、タグホイヤーといったブランドに度々提供してきました。
今後もグループ内の強みを掛けわせたモデルが開発されるのでしょう。
そんな経緯もあり開発されたオクトヴェロチッシモは、オクトシリーズのエルプリメロ搭載機となります。
見た目はクラシックなラグスポといったデザインで、他の代表モデルに比べると落ち着いた印象です。
オクトの後ろに付けられたヴェロチッシモは最速を意味しており、名前に入れていることからも、エルプリメロのハイビートを売りにしています。
普段はゼニスを愛用する男性でも、このブルガリなら違和感なく身に着けられるのではないでしょうか。
この記事を書いた筆者:買取リッチ東京 東村山店 店長
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